「技術が好きだから、最適解を形にしたい」大規模負荷や新技術に挑み続けるテックリードの視点

2026.05.21

【プロフィール】矢光(yako)

2020年に新卒でユニークビジョンに入社。エンジニアとして「Beluga スタジオ」「Beluga Campaign for LINE」などの主力プロダクトの開発に携わり、数々の大規模案件を成功に導く。現在はテックリードとしてチームを牽引するほか、社外カンファレンスへの登壇など、技術発信にも積極的に取り組んでいる。

「プログラムが書けるようになりたい」から始まったキャリア

――矢光さんは学生時代、数学を専攻されていたそうですね。エンジニアを目指したきっかけは何だったのでしょうか?

大学は情報系でしたが、プログラミングをバリバリ書くよりも数学寄りの研究をしていました。仕事を探す段階になって「手に職をつけたい」「自分の手でプログラムを書けるようになりたい」という憧れから、エンジニアとして働くことを決意しました。
ユニークビジョンを知ったのはスカウトがきっかけでした。技術力の高さや自由度の高いカルチャーに惹かれ、一度話を聞いてみようと思いエントリーしました。最終的には面談で社員と話し、技術に対して真摯で、非常に雰囲気がいいなと感じたことが入社を決意した決め手になりました。

――入社直後は、慣れないWeb技術やリモート環境でのスタートで苦労もあったとか。

当時コロナ真っ只中で、入社4日目からフルリモートでの研修が始まりました。しかも、当時は今より研修制度が整っていない過渡期。入社してすぐに6冊の本を渡され「2週間後に内容について発表して」という課題が渡されました。講義やシステム構築実習の合間を縫って本を読み、プレゼンの準備を進めるという超特急のスケジュールでした(笑)。Web系の概念が全くわからず苦戦しましたが、メンターの先輩にサポートしてもらいながら必死に食らいつきました。

着実に確実に。努力で身につけた技術力と業務遂行力

――最初はどのような業務を任されたのでしょう。

研修後に「Belugaスタジオ」チームに配属となり、まず管理画面の簡単な改修を任されました。分からないことだらけだったのでコードベースを読んだり、ヘッダーの色を変えてみたりして実際に動かしながら技術要素の理解を進めていました。当時はまだまだ方針相談も開発も下手で、テックリードの遥さんにライブラリを使うべきと指摘されていたのですが、結局ライブラリを使わず実装し、それによりバグを埋め込んでしまったんです……。
この経験から、先輩方が技術的な根拠を一つひとつ丁寧に確認し、密度の高いフィードバックをくださるのはすべて品質への責任感からくるものなんだと学びました。あの時の経験が、今の自分のプロフェッショナルとしての土台になっています。

その後はシステム間連携が必要なログインサービス連携機能や、ライブラリバージョンアップなどを経験しました。一人で任される範囲が広がっていくと同時に、影響範囲が大きい開発においては特にチームのコミュニケーションが重要だと学びました。また、社外の知見を必要とすることも増え、コードと向き合いながらキャッチアップして取り組みました。どんな開発タスクが来ても時間をかけて調べれば取り組める、という自信がついたのがこの時期ですね。

――テックリードにはいつから?

入社してちょうど1年が経ったあたりでテックリード業務を任せていただくようになりました。この頃からより難しい開発が増えました。例えばXのトレンドデータを回数制限付きで帳票として出力できる機能や、投稿時の複数承認機能追加などですね。特に複数承認機能の追加開発は、Belugaスタジオがお客様から選ばれる主な理由にもなる重要な機能で既存のコードに横断的に手を入れる必要があったので苦労しました。このあたりから「手戻りの少ない安定した開発を行うためには設計時にどうしたらいいのか」という逆算を意識できるようになりました。

3年目にはBelugaキャンペーンの新機能開発に抜擢いただき、初めて0からプロダクト開発を行いました。開始時には不確定要素も多い状態でしたが、他社のサービスの仕組みを調査して綿密な詳細設計を作成して何とか形にすることができました。これまでは目の前の開発に熱中していましたが、このプロジェクトを一緒に進めた優秀なメンバーに感化されたこともあり、強いエンジニアとはなにか、自分はどうなっていきたいのかをこの頃から考えるようになりはじめました。

1秒に300アクセスという高い負荷に挑む

――現在、主力のサービスや機能の多くで矢光さんが開発に携わっていたとか。

ありがたいことに、実はそうなんです(笑)先ほどお話しした新機能も、のちに主力サービスのもととなりましたし、他にもweb認証機能やマイレージ機能など、お客様によく使っていただいている機能の開発に携わってきました。プロジェクト単位で言うと、新サービスとなるBelugaキャンペーン for TikTokの設計・開発に初期段階から携わりましたし、今はLINEキャンペーンのオンライン入稿管理システムをPLと二人三脚で立ち上げ、機能化を全力で進めているところです。

どんな開発も思い出深いのですが、特に痺れたのは、当時としては史上最大の負荷対策です。秒間100アクセスでも多いと言われる中で「1秒止まるだけで300人が離脱する」という緊張感です。どこにボトルネックがあるかを特定し、既存のアーキテクチャを変えずに、実装レベルでの細かなチューニングを積み重ねて最適化することで負荷を押さえました。普段、開始確認と呼ばれるキャンペーン開始直後のエラー監視はディレクターさんが行うのですが、この時はあまりに気になって僕も張り付いてみていました。インシデントなく無事にキャンペーンが動いた瞬間の安堵感と達成感は非常に大きかったです。ちなみに今、社内では秒間1000アクセスという負荷を想定した案件開発も行われています。今後もさらに高負荷なキャンペーンを安全稼働させられるよう、僕たちエンジニアが頑張らないとなと思っています。

――かなり順風満帆にキャリアを歩まれている印象ですが、逆にうまくいかなかったことはありますか?

入社2年目でBelugaキャンペーンの個別通知設定の開発を行った際「これで行けるだろう」と甘く見積もったタスクが気合ではどうにもならなくなり、多大な時間を費やしてしまいました。「慣れた時が一番危ない」というのは、今も自分への教訓として刻んでいます。それ以来、お客さんや他のメンバーに迷惑をかけないためにもタスクの見積もりは常に慎重に、悩んだ際は大きめに見積もるよう徹底しています。

――苦い経験もされたんですね。これまでのご経験の中で、特に印象に残っている仕事はありますか?

Belugaキャンペーン for LINE(BC4L)チームでの案件です。サンプルのマイレージ作成を、フロントエンド中心に進めました。当時LINEのキャンペーンはまだまだ機能が充実していない中で、2週間というタイトなスケジュールをスピード感を持ってやり遂げたことが印象に残っている理由です。短い期間での実装でしたが完成度をクライアントさんにもほめていただけたのも嬉しかったです。この時に築いた信頼関係が、のちの受注や今の良好な関係につながっているのではないかと、実は密かに思っています(笑)

テックリードになっても「書くこと」にこだわりたい

――現在はテックリードという立場ですが、マネジメントと開発のバランスはどう考えていますか?

正直に言えば、今も開発が大好きで、ずっとコードを書いていたいタイプです(笑)。テックリードは通常全体を円滑に進めるマネジメント要素も強いですが、自分が開発が好きというのを汲んでいただき、今も実装に携わることができています。同じ役割でもその人の個性や強みを理解して業務に反映していただけるので、そこは本当にありがたいですね。
最近では、エンジニアがいなくても運用が回るように入稿システムのUI/UXを改善したり、社内のコンポーネントライブラリを刷新したりと「いかに効率よく、誰でも簡単に設定できるか」という仕組みづくりに注力しています。

――これまでのお話から開発に対する熱意がすごく伝わってきました!そこまで熱意を注ぐ理由はあるのですか?

うーん……。小さい頃からプログラミングをしてたわけではないのですが、元々憧れはあったんです。手に職をつけたい、モノづくりに関わりたいという漠然とした憧れが、社会人になった今も自分の原動力になっているのかもしれません。実際、初めて新機能の開発を任されたとき、LLMがない時代だったのにLLMを使うようなスピードで開発を進める先輩の姿を見てものすごく格好いいなと感じたのを覚えています。今でも尊敬するエンジニアを聞かれた際には、その先輩が真っ先に思い浮かびます。

WGで取り組む、組織規模での品質向上と持続可能な開発の仕組みづくり

――開発プロジェクトだけでなく、社内のワーキンググループ(WG)にも積極的に参加されていますよね。

はい。僕自身は2021年1月ごろからWGに参加しています。最初に入ったのはプロジェクトマネジメントWGという、社内の開発フローの統一などを目指して活動していました。その後もコードレビュー、フロントエンド、バックエンド、AI開発など時代とともに目まぐるしく変わる技術課題に対して、様々な角度から解決策を模索しています。

中でも特に思い入れが強いのはコードレビューWGです。チーム内でルーレット形式でレビュワーが決まる制度や、レビュー量を可視化する仕組みなどを作り、全社的な開発品質の向上を目指してきました。一度は役目を終えてWGは解散したのですが、最近またレビューを強化しようとWGが立ち上がりました。今回は特に、生成AIを活用しながらも質の高いコードを作り続けるためのレビュー制度や組織の拡大に合わせて曖昧になっていたレビュー基準を今一度見直すところから動いていこうと考えています。

――矢光さんから見た、ユニークビジョンの開発組織はどんなものでしょうか?

ユニークビジョンの良さは「新しい技術を使いたい」というだけの提案ではなく「費用対効果があり、プロダクトを良くする」と判断されれば、新しい技術がフラットに採用されることにあります。先ほどのWGのように、現場が感じた課題をメンバーが様々な観点から会社に提案したり解決に向けて動いたりしているのも、その表れです。最近も、開発効率向上のためAPIのリプレースを提案しました。ユーザーへの直接的な価値がないため一般的には理解されにくいことだと思いますが、長期的な費用対効果を踏まえて採用されました。新しい流れになんとなく乗るのではなく、モノを見て判断する文化が、技術者としては非常に居心地が良いですね。

――昨年の年間表彰では技術賞を授賞されていましたね。

はい。昨年はありがたいことに技術賞に選んでいただきました。これまでお話しした社内ベースコンポーネントの刷新やCMSのUI構築など、フロントエンド領域を中心に「現場が本当に使いやすい仕組み」を模索してきた一連の取り組みを、賞という形で評価してもらえたことは大きな励みになりました。 

今後は社内だけではなく、社外にも誇れるエンジニアになりたいと考えています。最近ではVue Fes Japan 2025をはじめとしたカンファレンスでの登壇、テックブログの執筆など技術発信を行うことに注力しています。直近では、国内最大級のTypeScriptカンファレンスである「TSKaigi」に向けて、自分でプロポーザル(登壇提案)を書き、無事に採択されました。ノウハウのない中で手探りながらも検証して得た、開発しやすい環境づくりの知見を詰め込んだ内容なのですが、自分の意思で行動し、社外の技術コミュニティに評価してもらえたことは大きな自信になりました。 

過去に登壇したVue Fes Japanでの経験やテックブログの執筆も含め、こうした社外への発信を通してユニークビジョンの技術の面白さを知ってもらえると嬉しいです。また、こういった活動を社内にもどんどん還元していきたいです。自分が最前線で打席に立ち続けることで、会社の技術的プレゼンスを高めることにも貢献できればと考えています。こういった活動を通して世界に誇れる人になれると嬉しいですね。

技術を「どう使うか」を考え抜ける仲間と

――最後に、今後どのようなエンジニアと一緒に働きたいですか?

大前提として、僕と同じように「技術が好きな人」と話したいです。ユニークビジョンのエンジニアの仕事は、ただ言われたものを設計書通りに書くものではありません。クライアントの要望を実現するためにどんなシステムに落とし込むかはもちろん、フロントエンドからバックエンド・インフラまで一環して設計し実装する必要があります。例えばBelugaキャンペーンではどのような案件の負荷要件にも耐えうるアーキテクチャを多角的に考察して設計します。また、実装の際にも単純なサーバ増強ではなく、案件に最適化したパフォーマンスチューニングをコーディングで行うことでサービスの質とコスト最適化を図るなど、システムの裏側を深く理解して開発に取り組む能力が不可欠です。こうした難しさや挑戦を「楽しい」と感じられる人はユニークビジョンの環境を楽しんでいただけると思います。

一方で、技術へのこだわりが強すぎてオーバーエンジニアリングになってしまうのは良くない。技術への情熱はありつつも、目の前の課題に対して、技術をどう使うのが最適かを冷静に考えられる人が理想的ですね。これからも新しい技術をプロダクトに還元していきたい。そんな挑戦を一緒に楽しんでいただける方と、ぜひ一緒に働きたいです!

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